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FILM SOCIALISME
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| "Film Socialisme" un film de Jean Luc Godard |

17日、カンヌ映画祭の「ある視点」部門で披露されたゴダール監督の新作「FILM SOCIALISME」。
2004年の「アワーミュージック」以来待望の新作が公開されるということよりも、監督本人がカンヌ映画祭に姿を現さなかったことが、騒ぎになっているようだ。なんでも監督からの釈明は「"empêchement de type grec"(ギリシア的な支障)」という簡潔かつ意味深な表現にとどめているというのだ。(ギリシア・タイプの障害って、まさか経済的理由ではないだろうけど…)

さらには本作は、本日19日からフランスでは劇場公開されたそうだが、そのオフィシャルサイトの予告編は、100分に及ぶその映画全編を高速に回し70秒程度に圧縮したもので、すでに「全てを観せている」のである。
極めつけは、公開と同日にヴィデオ・オン・デマンド(VOD)でネット配信もするという。(FILMO TV限定でオンライン)

重ね重ねのエピソードにこの数日ネットのニュースやラジオでもゴダールの名が騒がしく繰り返されていて、そのなんとも現代的で戦略的ともいえる「攻め」の姿勢はまさしくゴダール的でうれしくなった!

さて、騒ぎは大きいけれど、果たしてこの映画をスクリーンで観るために映画館に行くかと言われれば、それは別の問題かもしれない。100分で観ようが70秒で早回しで観ようが、今のゴダールの映画に関しては「観た」という事実に変わりはなさそうだから…なんて書くと次々と非難の言葉を浴びせられそうだから、「一日も早くこの敬愛する監督の新作映画を日本語字幕で観れるのを期待しています。心から」、とまとめることにしておこう。
by cherchemidi | 2010-05-20 03:05 | j'aime le cinema
adieu ROHMER
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エリック・ロメールを追悼して渋谷のユーロスペースで彼の長編全作品が一挙特集上映されているという。それを知ったのが先週の火曜日。すでに始まって4日目であった。
さっそくプログラムを見てもう一度スクリーンで観るとしたら何だろうか考えるも、お気に入りのひとつである「クレールの膝」はすでに終わっていた。

あとは「緑の光線」と「満月の夜」、そしてもちろんの「四季」シリーズ…あたりだろうか…いや、そもそも僕にロメールのどれが最良の作品かなど評論する余地もない。「もう一度」なんて言ってはみたものの告白すればヴィデオやDVDでさえも彼の全ての作品は観ていないんだから。

ヌーヴェルヴァーグの監督たちの中でも、個人的には「しゃべりすぎ」なロメールの映画はあまり得意ではなく、あの長い台詞を聞きながら、よくテレビやスクリーンの前で気持ちよくうとうとしてしまった記憶ばかりがある。衝撃的だったはずの「獅子座」さえ、もう何年も見直していないような気がする。

まあ、そんな僕だけどやっぱり「緑の光線」だけはスクリーンのフィルムでの上映で観たかった。
というのも、かつてレンタルのVHSで、ブラウン管テレヴィに映し出されたその映像では重要なラストシーンの「緑の光線」が見えなかったから記憶があるからである。
そんなわけで、忙しいはずの金曜の午後に観に行ってみた。

もはやネタバレとも言えないほど周知の通りだろうけど、この映画はラストシーンの「緑の光線」のための映画であって、そのための残りの90分、といっても過言ではないだろう。
もちろん大きなスクリーンにフィルムで投影されたその映像にははっきり「緑の光」が見えるのである。
あらためて素晴らしい作品だった。

土曜日は「海辺のポーリーヌ」を観た。
ロメールで「海」が舞台の映画は間違いない。

日曜日は仕事で観れそうにないのだけれど、勢いで「5回券」を買ったのでさて来週何を観ようかとプログラムと手帳を眺めている。

くわえて来週はフランス映画祭もはじまる。
たくさんの映画に触れられる一週間になりそうで楽しみだ。
by cherchemidi | 2010-03-14 00:50 | j'aime le cinema
(vie héroïque)
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先週のことだけど、ゲンスブールの生涯を描いた「GAINSBOURG (vie héroïque)」を観た。


やっぱり彼の生きたサンジェルマンで観ようとParis Scopeを買って劇場を探したが、どうもOdeonじゃあないな…と思っていたら7区の「La Pagodo」でやっていると知り、迷わず直行。バビロン通り、シノワズリーかどうか、東洋趣味の宮殿を改造した一風変わった映画館である。

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以下映画については、“なるべく”ネタバレがないように書くけれど、基本的にネガティヴな評なので、純粋にフラットな気持ちで楽しみたい方はどうぞ読まないでください(少なくとも予告編以外のYouTubeは観ないでください)。

予告編(YouTube)

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まずは僕がその映画のディテールまで理解できるほどのフランス語の語学力がないことをまず最初にお断りしつつ…。それでもひとことで言えば、この映画がまったくよろしくない。少なくとも僕やプレヴューで観た友人のステファン・マネル、僕らゲンスブールのファナティークを自認するものにとってはあらゆる点で「Pas Très Bon」という評価である。



そもそも2時間と少しで彼の波瀾万丈の人生「すべて」を語ろうとするから、それがまず不可能として、それでもその全部を盛り込もうとするもんだから、ヒロイックな人生があまりに散漫に映ってしまう。
これは予告編でもまったく登場しないから意図的に隠しているんだろうけど、彼の生涯を通して登場する「ある登場人物」の存在による脚色がまったく安っぽくて楽しめない。たしかに象徴的な存在ではあるんだろうけれど、あれはいらない。
そして大人になったセルジュ、登場した瞬間に目がいってしまったのは、やはり特殊メイクでかたち作られたセルジュを特徴づけるおおきな「鼻」と「耳」。やっぱりこれは強調しすぎで気になってくる。いや、全体的にセルジュ演じるエリック・エルモスニーノがセルジュを演じきろうという努力は十分に買うんだけど、なんだか全体的に「ものまね」の感が漂ってくるのだ。
あの手の動きとかコピーするのはいいけど、そういう細かいものまねばかり気になってくる。衣装もそうで、セルジュの着ていた衣装をコピーしているんだけど、着こなしが全然違うから本当にコピーでしかない。特に70年代に入ってレゲエ期くらいから以降の恰幅の良いセルジュを演じるには、彼は少々無理がある。なにもその役作りのためにあそこまで太れとは言わないけども(まあ、俺はああなりたくて太ったけどね)、衣装がまったくそのままだから逆に「ものまね」の感が強く漂ってくるのだ。(YouTube)
そう、後半、セルジュがヴェルヌイユ通りに移ってからというのが、全体的にそういう余計なことばかりが気になってしまって、あまり映画自体に集中できなくなってくる。

亡くなってしまった女優さんを責めるのもなんだけど、ジェーン・バーキンを演じたルーシー・ゴードンも、うわずった声はいいけど、やっぱり「僕らの知っている」ジェーン・バーキンじゃあないのだ。(YouTube)
幼少のシャルロットはまあ笑えたけど、本人の「観たくない」気持ちもよく分かる。
彼の人生を俯瞰してみたとき、やっぱりこのジェーンとの出会いから、二人のまったりした愛の日々、そして離別というのが彼のパッションとデカダンスの頂点であるように思うんだけれど、どうもそうは見えてこなかった。ああ「メロディ・ネルソン」の誕生も…。

その原因は明快で、バルドーを演じるレティシア・カスタがどうにもよすぎるのだ。(YouTube) その時期は60年代だから、ぎりぎりその「ものまね」感も薄いからだろうか。カスタのバルドー風の鼻にかかって舌足らずな話し方は絶妙だったし、"Je t'aime, moi non plus "が生まれてくる瞬間は軽く身震いしそうだった。
そんなわけで、観終わって考えてみて、映画のピーク、引いてはセルジュの人生のピークというのが、このバルドー期にあったように映ってしまった(え、実際そうだったのかな?)。
それからこの映画では主に音楽家として側面からセルジュの経歴を追っている印象を受ける。例えば彼の監督した映画「ジュテーム」については触れられないままだったし、有名なテレヴィでの500フランを燃やす事件や、ホイットニー・ヒューストンに絡んだスキャンダルなんかも語られないまま(まあ要らないか…とも思ったけどあの高額オークションのシーンは再現されたいたしな)。

セルジュを見い出すボリス・ヴィアン。フィリップ・カトリーヌ演じるそれはまあ全然似てはいないけど、その時代をはるか昔としか捉えられない自分の世代にとっては、その「Je Vois」のかけあいでつなぐ「Je vois」と「lntoxicated man」の“Back to Back”が面白かった。(YouTube)

それからセルジュのピアノを弾く手を演じたゴンザレスも別のシーンで一瞬カメオ出演するからお見逃しなく。アナ・ムグラリス演じるグレコの「ジャバネーズ」、フランス・ギャルの「ベイビー・ポップ」、それからジャック4兄弟の「リラの門の切符売り」…。
どちらにしても映画を十分に楽しむにはセルジュの言動や作品、ひいては彼の生きた時代のフランスの芸能界にもある程度の予備知識があったほうがよさそうだけれど、逆に本人や彼にまつわる映像なんかを観て知ってるファンにとっては、この映画で描かれる断片では物足りない(あるいは納得できない)。そういう意味でも中途半端な印象さえ受けた。

とはいえ、セルジュの人生をスクリーンで追っていると、あっという間の2時間10分。あくびをする間もなくすぐにエンディングを迎えてしまった。


一生を全部描くなんてことを最初から放棄して、愛にあふれた人生を強調して「ジャヴァネーズ」か、破天荒な生き様をハードボイルドに描いて「馬鹿者のためのレクイエム」がエンドロールで流れてきたら、きっと観終わってしばらく席を立てなくなっていただろうな…。

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観終わった直後の感想としてTwitterで「ヴェルヌイユ通り5bis の真っ白な壁だけが素晴らしかった」と書いたんだけど、敬愛するセルジュ・ゲンスブールの伝記映画にこんなにまで辛口な評を書きたくなってしまうのは、あまりに彼が死んでから間もなくて(とはいえもう20年弱…)、たくさんの映像やイメージが身近にありすぎるからだろう。DVDでも出ているそれらの当時の実際の映像に、決して作りものの伝記が勝ることはないから。あるいは、もはや神のような存在のセルジュを軽々しい脚色とともに偶像化しないでほしいという想いだけかもしれない。
(事実、セルジュにそれほどの思い入れのない女性の口からは「Pas Mal、楽しめたけど…」と)

そう、彼自身もセルジュの一ファンである監督、ジョアン・スファーの視点でのセルジュの解釈として、十分に距離を置いてみた方が良かったのかもしれない。

振り返ってみて、素晴らしすぎたエディット・ピアフのあの伝記映画に端を発して、その後フランソワーズ・サガン、ココ・シャネルと続いてきたフランスの伝説を扱った伝記映画、それらとはまったく意味あいの違う映画のように感じた。



こんな酷評を書きながらも、僕はこの映画の登場であらためて「セルジュ・ゲンスブール」その人に再びスポットが当てられたことをうれしく思うし、国民的な有名人であったその人を、あそこまで独自のイマジネーションをいれて脚色する監督の勇気はちゃんと認めておきたい。
この映画の日本でのディストリビューションはまだ決まってないそうだけど、きっと今年の春の「フランス映画祭」では、日本のスクリーンで観れるのだろうと希望的観測を抱いている。
もちろんもう一度、日本語の字幕付で再度見直したいと思っている。


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by cherchemidi | 2010-02-02 00:39 | j'aime le cinema
(vie héroïque)
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| photo: sk |

明日、いよいよ公開される「GAINSBOURG - Vie Héroïque」
パリの街はそのポスターであふれているし、会う友人、知人、だれもがこの映画の話題を持ち出してくる。

今回はヴェルヌイユ通りのセルジュ家の斜め向かいのホテルに泊まった。自分でホテルを決めて予約できるときは可能な限りここに泊まることにしているのは、他でもない、あの壁の向こうに隠された秘密のジャルダンが、上からのぞき見られるという理由からで、予約の際には「なるべく上の階、通りに面した部屋」を注文するのを忘れない。

今週、この映画の影響か、その家の壁を撮影するツーリストの姿をよく見かける。

さて、この映画の公開に先立って公開前夜の「プレヴュー」に誘ってもらった。ありがたき幸せ。メルシー! 「メ…、でも僕はまさにその一日だけパリを空けているんです…」。 ああ、こんなことがあるだろうか?

とはいえパリの友人たちのこの映画の期待は決して大きいわけではない。
「絶対によくないに決まっている」「予告編だけであれだから、きっと失望するだろう…」「特殊メイクで鼻や耳を大きくした俳優がセルジュだなんて…」「伝記映画を作るのは早すぎる」といった具合だ。
さらにシャルロット・ゲンスブールも公開される前から「私はその映画を観ないと思う」と公言している。彼女の場合は僕らファンとは違って「父親が主役の映画」(自分も出てくる)という特別なケースだけど。
どちらにしても公開前にこの映画に対してあまりよい評判は聞かない。

さらにジェーン・バーキン役を演じた女優(ルーシー・ゴードン)は撮影が終わった後、謎の自殺を遂げている。
完成前から呪われた映画のようじゃないか。

まあそれでもきっと友人の多くは今週それを観に行くだろう。もちろん僕も時間を見つけて行くつもり。
エンドロールで流れるのは「馬鹿者のためのレクイエム」じゃなくて「ジャヴァネーズ」だといいな。


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| photo: sk |
by cherchemidi | 2010-01-20 05:39 | j'aime le cinema
Il y a "WILD THINGS" à Shibuya
オープニング・セレモニーでのスパイク・ジョンズを囲む会にて。

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映画、まだ見れていないのだけど、先行してグッズを買ってしまった(STARWARS以来…)。。。
あ、サウンドトラックはすでに愛聴盤(Amazon)
これ観た瞬間泣けてしまうんだろうというような音楽やシーンもあり…。

「Where the Wild Things Are」。 フランス語タイトルは「Max et les Maximonstres」。
by cherchemidi | 2009-12-18 20:12 | j'aime le cinema
LOGORAMA - complément
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| "LOGORAMA" un film de H5 |

先日、書いたH5の映画「LOGORAMA」…、その後いろいろ情報を頂きました。
フランスのアート誌「étapes」によるH5へのインタヴューでその片鱗を伺えるのでは…、ということで以下リンクにてどうぞ。

H5 Logorama
by cherchemidi | 2009-11-05 20:04 | j'aime le cinema
LOGORAMA
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7月のことだけど、突然「H5の作った短編の試写があるからこれからCANAL+まで来ないか?」と呼び出された。「CANAL+」調べてみると16区のはずれ、すでに郊外だったが仕方なくRERで向かう。

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| LOGORAMA, un film de H5 |


ほんの10分ほどの短編アニメーション「LOGORAMA」はグラフィック・デザイン・チームであるH5の3人のグラフィストによる初めてのスクリーン作品となる。
すでに今年5月のカンヌの評論家週間をはじめいくつかの映画祭で上映されたと聞いたが、これ、よく本当に上映できたな…というほどの問題作である。
というのもこの映画に出てくるキャラクターはすべてが実際のロゴマークだったり企業のキャラクターだったり。たとえば、まず舞台となる街全体はロゴ・マークで形作られていて、登場する警官役はミシュランのビバンダムくん(たち)だし、エッソ・ボーイ&エッソ・ガールに、ハリボー坊や、さらにはマクドナルドのドナルドがマッド・ピエロになって登場するわ、動物園にはラコステのワニがいるわ…(笑)。それら全てが許可なしで登場するのだ。
本当にスクリーンから目が離せないのである。おそろしくディテールに拘った映画だから、おそらく繰り返し見れば見るほどに新しい発見があるはずだ。

これまで音楽まわりのアートワークからスタートして、ついにはビッグ・メゾンのファッション系のCIやら、大きな企業の広告映像までを手がけてきたH5。
そんな仕事の中で扱うことも多かったであろう「ロゴ」「商標」。強い権利意識で守られたそれら「ロゴ」「商標」といったものに、本当に嫌気がさしていたんだろうというのは強く感じられるが、あまりにアイロニカルなそのストーリー展開は、どう考えたって今後一大スキャンダルになりそうだ。
その挑戦的なH5も素晴らしいが、それを堂々ディストリビューションできるCANAL+もすごいと思った。


その尺の短さやスキャンダル性からも、メディアとしてはスクリーンよりもゲリラ的なYouTube向きという気もしなくもないのだけれど、現在のところリーク映像は見当たらず。

なぜ今思い出したように書いているかと言うと、何をかくそう今夜、パリの装飾美術館(Musée des Arts Décoratifs)でプロジェクションがあるというのである。
急な告知だけれど(それもパリだし…)、見れそうならぜひこの機会にスクリーンで見ておいた方が良い短編だと思う。(詳細)

もちろんいくつか日本の有名企業のロゴも登場する。さて日本のスクリーンで見られる日はくるのだろうか?


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その日は完成披露試写で、上映後カクテルが用意されて、多くの友人や関係者が集まった。H5の面々と再会、アレックス・ゴファーらにも再会した。そういえば、アレックス・ゴファー初期の「The Child」のクリップ(YouTube)にはこの「LOGORAMA」の原型が詰まっていたのを思い出した。
帰りにはいっさいロゴの入っていない真っ黒なこのポスターと、いくつか有名企業のロゴマークが「LOGORAMA」というタイトルの帯でざっくり隠された缶バッジとポストカードをもらった。

映画とは関係のない話だけれど、さすがCANAL+の試写室、仕切りのないソファーのような革張りのシートでとても心地が良かった。
by cherchemidi | 2009-10-29 15:57 | j'aime le cinema
"THE LIMITS OF CONTROL"
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| THE LIMITS OF CONTROL, a film by Jim Jarmusch | ©2009 PointBlank Films Inc. |

カラックスの『ボーイ・ミーツ・ガール』と同じくらいに、自分にとってのトラウマ・シネマとなっているのがジム・ジャームッシュ監督の『パーマネント・ヴァケーション』。
ジャームッシュの新作、ということで今回も楽しみに観せて頂きました。

詳細はこちらでレヴューしましたが、全然明快な解答のない、そして前作のようなペーソスや笑いのない、そんな新作。それでもクリストファー・ドイルの映像はめっぽう奇麗だし、なんか軽く掌を返してこういう映画を撮ってしまえる監督がやっぱり好きだな…と改めて思った次第。
すべての皆さんにはおススメしませんが、こういう映画を観てああだこうだと話したい人はぜひ!
by cherchemidi | 2009-09-25 23:59 | j'aime le cinema
Nos Enfants Nous Accuseront
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| 未来の食卓 |

現在公開中のドキュメンタリー映画「未来の食卓」。
今年3月のフランス映画祭での前評判が高かったのは聞いていたものの、結局見逃してしまった。
その後、全国での公開が決まったと知って、さっそく試写会で観せて頂いた。


舞台は南フランスの小さなバルジャック村。この村の村長が全ての学校給食の「ビオ」化を推進するという顛末をもとに、それぞれの家庭が「食」について意識を高くしていく様が描かれるドキュメンタリー作品。(ビオ=オーガニック)
当然、子供たちが主役ではあるのだけれど、今のまま利便化/簡略化されていく食卓事情を考えれば、彼らの「未来の食卓」は決して明るくなさそうなのは想像に難くなく、まさに今この時期が食への意識の転換点であることは、僕らも何の気なしに気付いているはずである。

このかわいらしいポスターとは違って、なかなか真面目で深刻なドキュメンタリー映画で、なんといってもフランス語の原題は「Nos Enfants Nous Accuseront」。私たちの子供は、私たちを告訴するだろう(非難するだろう)、といったような強いタイトルなのである。

ビオの食材はより高くなるのは当然なのだが、「それなら量を減らしてでも、おいしくて安全なビオのものを食べたい」というような発言が子供たちから自然と出てくるような教育は素直に素晴らしいと思い、大いに影響を受けた。

ここでの重要な点は、その安全性におかれている。

フランスでも日本同様、ずいぶん前から「ビオ」へのこだわりはあって、もちろんビオの方が数段おいしいし安全なのは、周知のこと。でも、やはり“高級”なものという認識が高い。

例えば毎週末の「ラスパイユのビオの市」は大好きだけれど、その土地柄もあってそこで見かけるのは6区7区の高級なマダムがほとんど(あとはカメラを持った観光客…僕もそうだけど)といった具合である。ほんのすこし南に下りたモンパルナスの朝市(もっと活気がある)なんかと比べると、やっぱり値段は1.5倍〜2倍といった印象を受けるのである。やっぱりビオの朝市で買い食いするフルーツは格段の美味しさなのは言うまでもないけど…。

何でも効率化するスーパー資本主義のもと、本当に「食材」は食べられるものなのかというような大きな疑惑さえわいてしまう昨今(だって100円のハンバーガーって普通に考えておかしくないですか?)。

この映画を観たいと思ったのは、もちろん「フランスの村」が舞台だから、というわけだけではなかった。
今年の春にはちょうど「eatrip」でデザインの仕事をさせて頂いたこともあってか、「食」にまつわる映画を意識的に観る機会が多くなったように思う。(※この「eatrip」は先日のモントリオール世界映画祭でも好評を博したようで、この秋10/10からさらに拡大上映が決定しました!)

やはり衝撃的だったのは一切のナレーションも押し付けがましい解説もないドキュメンタリー『いのちの食べかた』である。
また、これはドキュメンタリーではないのだけれど、やっぱり子供たちの食への問題を提起した『ブタがいた教室』まで観てしまった(これは飛行機で)。


(つづく)
by cherchemidi | 2009-09-06 10:30 | j'aime le cinema
"Symbole"
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| photo: sk |

この8月、honeyee.comの取材に同行して松本人志監督のポートレートを撮影をさせて頂いた。この僕が。白ホリのスタジオで与えられた時間は2分。さらに“日本のテレヴィで見る人”は一種独特で、これまでファインダー越しに目が合って一番緊張したような気さえする(笑)。

これまでミシェル・ゴンドリーに会っても、ソフィア・コッポラに会っても、レオス・カラックスに会っても、意外なほどに緊張しなかったのに…。

そんな機会を頂いたおかげで、その松本人志監督の第2作『しんぼる』をいちはやく試写で観せて頂く。
告白すれば『大日本人』はDVD化されて、ずいぶん経って、さらにTSUTAYA半額か何かで借りてようやく観て、それでも頭は「?」のままというような僕であるから、彼の新しい映画について真っ当な評価をする権利なんかないことをまず前提にして書かせてもらうのだけれど、これが「(意外と)面白かった」のである。

シュールな世界観とベタベタな笑いが不条理に解け合った松本人志ワールドな90分なわけだが、そのパラレル・ワールド的な語り口によって、知らない間に映画の中に引きずり込まれてしまっているし、ある時点からのぐしゃぐしゃにメタフィジックに暴走するくだりからなんかは、さてその「しんぼる」とは何をシンボライズしているのか、なんて考え始めざるを得ないものだから、監督の宗教観の提示をひたすら受け取るような感じで見入ってしまった。笑えるかどうか、分かるかどうか、ではなく(いや笑えるし、分からないのだけど)、この圧倒的な世界の提示力はすごいものだと感じたわけです。これ以上書いてネタバレするのもあれなので、ファンの方は迷わず劇場へどうぞ!

『しんぼる』(2009・日本)
監督・出演:松本人志 脚本:松本人志、高須光聖
9月12日(土)全国ロードショー http://symbol-movie.jp/
©YOSHIMOTO KOGYO CO., LTD. 2009
by cherchemidi | 2009-08-27 22:51 | j'aime le cinema



par 梶野彰一
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