Reverence
c0075562_153572.jpg

| Paris VII, le 13 février 2008 | photo: sk |

(La Vie C'est La Vie からつづき 2月13日のこと)

東京への飛行機はエールフランスの深夜便である。マッシーという郊外、いかにもウェルベックがモチーフとして好みそうな死んだ町のはずれにあるRERの駅。セバスチャン・テリエのリハーサルを満喫したあと、一足先に会場を去った僕は、その駅からロワシーまでRERのB線に乗る。夜のRERのB線。普通に考えたら誰もこんな電車に乗りたいとは思わない。“ロジェ・タロンのデザインした”などというチャーミングな前置詞も今では誰も語ることさえなくなってしまったRERの車両は相変わらず小便臭く落書きだらけだ。バンリュー(郊外)からバンリュー(郊外)へ。陰気すぎてiPodも文庫本も出す気も失せてしまうほど。素晴らしいセバスチャンのライヴのことや、飛行機のチェックインが少しおくれてしまう心配などが頭をよぎりながら、そのうすら寒い車内で70分以上揺られるのである。
途中、僕は何気なく車内の床に散らかった無料のタブロイド版に目をやった。表紙はアンリで、その死のことが報じられているようだ。この車両で他人の目を気にする必要もないのだが、それでも小心者の自分はちらりと周囲に目を配ってからその読み捨てられた夕刊を拾い上げてアンリの訃報に目をとおす。RERの床に落ちた夕刊からそんな知らせを知るのは切なすぎる。
着いたのは22時前だったか、夜のロワシーは閑散としている。
やるせない気持ちで乗ったエールフランスの機内でもテレヴィのニュースでサルヴァドールの死を報じていた。僕はようやくiPodは取り出したものの、機内でアンリの歌声を聴く自信がなかった。涙を流さずにその歌を聴くことは出来ないのが分かっていたからだ。
僕が充分にお金に余裕があり、さらに東京に締め切りの迫った(過ぎた)仕事が待っているというような状況でなければ、僕は間違いなくチケットを変更して(あるいは買い直して)、もう数日フランスの滞在を延ばしたに違いない。
果たしてどのようにして連絡をとるかは別として、正装して葬儀に駆けつけることだって出来たはずだ。
2月13日、ヴァンドームの別宅で息を引き取ったアンリ・サルヴァドールは16日にマドレーヌ寺院で葬儀が執り行われ、ペール・ラシェーズの墓地に眠ったという。
次のパリでは白い花を持ってペール・ラシェーズを訪れようと思う。
by cherchemidi | 2008-02-17 15:37 | monologue
<< Photo du Jour Photo du Jour >>



par 梶野彰一
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリ
monologue
photo
à la mode
de la musique
j'aime le cinema
et cetera...
Qui est vous, Shoichi Kajino?
mailto: atelier (at) lappareil-photo.com

casinodeparisをフォローしましょう
140 caractères "maintenant"
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧