La Ritournelle
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| Sébastien Tellier | photo: sk |

(Sébastien Tellier つづき)

その夜、セバスチャンはリッケンバッカーを抱えてステージに登場した。
バックにドラム、ベース、キーボードの3人のバンドを従え、60分ほどのコンサート。

セバスチャンは貴公子…というよりも奇行師…である。
それがどこまで意図的なもので、どこまで演出なのかは定かではないが、
ナイーヴで気難しい男であることは間違いない。

セバスチャンが奇行師なら、オーディエンスもかなり変わっているようだ。
その夜、最前列に陣取っていた中年夫婦は、なぜか二人そろって裸足でコンサートを観賞していた。そしてコンサートの終盤、目玉であろう「La Ritournelle」のイントロが始まったかと思うと、おもむろにリュックから靴下と靴を取り出した。そしてその場にしゃがんで靴下、靴を履いたかと思うと、そそくさとオーディエンスをかき分けて後方へと去っていってしまったのである。

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さて、「La Ritournelle」は言わずと知れた名曲で、2003年以来、これを超える美しい愛の歌は生まれていないと、僕はいろいろなところで書いてきた。その言葉はいまでも有効である。
生でこれを聴いたのはおそらく2年半ぶりだ。
セバスチャンが鍵盤に向かい、背筋を伸ばした瞬間に直感的に「La Ritournelle」が演奏されるのが判って僕の気持ちは昂った。
その夜はステージの前で撮影させてもらっていたのだけど、実はその際に小さなハンディカムも固定しておいた。その様子はこちら
9分に及ぶ名演。そのうち半分がイントロで、タイトル通りのRitournelleである。
そして彼の歌う英語の詞が美しすぎるのだ。言葉だけで胸が締めつけられるよう。

Oh nothing's gonna change my love for you
I wanna spend my life with you
So we make love on the grass under the moon
No one can tell, damned if I do
Forever journeys on golden avenues
I drift in your eyes since I love you
I got that beat in my veins for only rule
Love is to share, mine is for you

こんなデリケートなラヴソングを歌い終わった瞬間、ステージで腕立て伏せをするのは彼なりの照れ隠しであろう。そしてまたすぐさま煙草に火をつけるのだ。

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| Sébastien Tellier | photo: sk |


(もう一回つづく)
by cherchemidi | 2007-09-19 02:37 | de la musique
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par 梶野彰一
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