Année du Lapin
新年は卯年ということで、うさぎ、ラパンの話を。

フランスでは野に跳ねるうさぎを見れば「おいしそう」とよだれを垂らす人も多い…というのが真実かどうかはさておき、肉屋のウィンドウで丸裸にされたうさぎを買って行くマダムも少なくないし、ジビエの季節にはレストランでもラパンはごちそうだ。かくいう僕も肉食だった数年前までは好んで注文していたものである。

ぴょんぴょん跳ねる愛らしいうさぎを食べるのが野蛮だとか、かわいそうだとか、あのきれいな目で見つめる馬の肉をうまいうまいと食べる国の民が揶揄するべきではない、とかねてより思っていたが、今日はこれ以上食べるうさぎの話はやめておこう。

書こうと思ったのはシャルルドゴール、パリ空港に住んでるうさぎのことである。

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パリ空港に着いたときはスポットに到着するまでの間、パリを発つときは滑走路に向かうまでの間、僕はたいていは窓から外の様子を眺めている。1秒でもパリの景色を目に焼き付けておこうという気持ちからだけど、そんなある時、滑走路脇の草むらにうさぎが跳ねるのを見つけたのは、もう15年以上も前だったかもしれない。

最初は目を疑ったけれど、うさぎがこんな所にいるなんて、パリ空港とはいえロワシーはずいぶんのどかだな…というくらいにしか思っていなかった。その後もうさぎと遭遇したのは何回かあったけれど毎回ではなかったので、しばらくは「パリ空港でうさぎを見たらいいことがあるかも」なんて勝手に乙女めいたジンクスのような考えを抱いたりもしたものだ。
ところが実はちゃんと目を開いて滑走路の脇の草むらを見ていれば、結構な確率でうさぎを見つけられるようになった。彼らは飛行機の轟音とすごい風にあおられながら、ぴょんぴょんと跳ねては、それぞれの穴へと入って行くのである。
先日のパリからのフライトなんて、これまで見た事もないくらいの大雪でシャルルドゴールが一面真っ白に覆われていたのだけど、そんな中でも、僕の目は雪の中を跳ねるうさぎを見逃さなかったほどだ。

そんなわけで、パリ空港をよく使う人にとっては、きっとこのうさぎたちはもう有名なんだと思っていたけど、意外にも知らない人が多かった。確かに、着陸後や離陸前に、滑走路脇の草むらに目を凝らしてる人もそんなにいないんだろうけど、僕にとってはもはや、そのラパンたちは「Bonjour Paris !」のサインであり、「Au Revoir Paris !」のサインなのである。

うさぎの年である今年、シャルルドゴールのうさぎに何度会えるか楽しみにしている。

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どうか以後、パリ空港を跳ねるうさぎの足を見て、おいしそうなんてよだれを垂らさないでください。
by cherchemidi | 2011-01-04 02:34 | et cetera...
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par 梶野彰一
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