YSL / PB au Grand Palais
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2月23日から25日にかけて、イヴ・サンローランと彼のパートナー、ピエール・ベルジェの所蔵品がクリスティーズのオークションにかけられたのはご存知の通り。
会場となったグランパレではそれに先立ち2月21, 22, 23の3日間だけ(実際23日は午前のみなので2日半)一般公開が行われた。その公開を見るための長い行列が多くのニュースで報じられていたのを知っているのは、実は僕もその列に並んでいたからだ(笑)。
21、22の土日はそれぞれ深夜12時まで開いているというので、日曜の夜に出かけるフランス人は少ないだろう、なんて高をくくって、22日の夜に向かったのだが、そこで目にしたのはあの大きなグランパレを3/4周する行列だった。最後尾まで辿って並んでいると、ちょうど係員が「ここから並んで最低でも2時間待ち、入れたとしても会場は必ず12時には閉館します」と叫んでいる。おそらくディナーも抜きで何時間も並んでる列の前方は少々殺気立っている様子。さらに9時を少し回った頃だったが、「これ以降はもう列を作らないように」と、その後は人を追い返している。なんでも初日は4時間待ちだったとかという話だ。小雨まじりの2月の寒いパリの夜に2時間以上待って、入れるか入れないか、入ったとしても30分以下の見学。これでは彼らの膨大なコレクションを見るのに時間が足りないとあきらめ、翌月曜の朝に出直そうと決心した。
そもそも、なぜそうまでして?とさえ考え始めるが、世紀のゲイ・カップル、そして、エレガンスの権化であるサンローランが愛して収集してきた美術品をこの目で見ることが出来るのは、この2日半だけである。その後は世界の収集家のもとへとバラバラになってしまうのである。
そんな思いをめぐらせながら、表の入り口へと歩いて、反対側にあるVIP用の短い列(VIPでもやはり列)の前にさしかかったところでにわかに名前を呼ばれた。振り返ると友人のクレオとフランソワがその列に並んでいる。彼らに近づき、今日はあきらめると伝えると、彼らの持っているVIPパスでは2名しか入れないが、このパスがあれば明日の朝も並ばないで入れるだろうから、自分たちが見終わったらパスをあげよう、というのである。なんたる偶然と幸運。さらに親切なことに、彼らは深夜0時すぎ、展示を見終わった後で僕のいる友人宅までそのパスを届けてくれた。

そんなおかげで、翌朝は早朝5時でも6時でもなく、8時半にグランパレに。そして9時の開場では、遥かに続く行列を後ろに、第一陣としてそのグランパレの扉をくぐることができたのである。

いくつかのテーマに分けられたそれぞれのサロンには、これがすべて個人の所有物かと目を疑いたくなくほどの美術品の数々が並ぶ。もちろんニュースでも大きく取り上げられたあの「18世紀 中国・清朝時代のネズミとウサギの銅像」もずっしりと。
そしてなんといっても絵画。宗教画からマネ、セザンヌ、マティス、そしてピカソらキュビズムの作品。そして決定的なのは、あのモンドリアンの平面分割だ。サンローランといえば、あのモンドリアンのドレス…だけに、本来のモンドリアンに加え彼が所有した事実がさらなる付加価値を与えるのであろう。

ある部屋はほとんどが鏡だけのコレクションだったり、実際彼らが使っていた家具がサロンのように再現された部屋があったりと、オークション品の展示とは思えないすばらしさ。最後にはサンローランを追悼するヴィデオの上映の部屋まであった。
ただその会場のどの展示品にも品番のタグがぶら下がっていて、商品名の横には小さな文字で巨額な落札想定額が書かれているのが、大きく一般の展覧会とは違う点である。とにかく、何を見ても、円換算しても、高いのだか安いのだか判断できない金額であった。

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会場にあるものすべてが「売り物」だなんてまったく想像できない展示。結局僕がここで買えるものといったらクリスティーズが正式に発売しているオークション品の目録だけである。そんなわけで、目録を片手に2時間弱、充実のコレクションをしっかり目に焼き付けてグランパレをあとにした。

まったく偶然にも、この時期にパリにいられたこと、そして、パスを持った友人に遭遇したことを幸運に思う。奇遇なことだが、2002年の1月イヴ・サンローランの引退発表のときもパリでそのニュースを聞いたし、2008年の6月1日、彼の亡くなった日にもまたパリにいあわせた。そして、今回のオークションと展示会である…。

エレガンスが消え行くこの世界の中、エレガンスの代名詞とも言えるサンローランはこの世を去り、彼の所蔵品が世界に散らばって行った。「すべては消えゆく」
史上最高額の落札額とともに。

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| photo: sk |
by cherchemidi | 2009-03-07 16:07 | à la mode
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par 梶野彰一
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