WOLFGANG AMADEUS PHOENIX
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| WOLFGANG AMADEUS PHOENIX | photo: sk |

1月の最後の週の晴れた午後、フェニックスの4人とサンジェルマン・デ・プレで会った。
広場に面したボナパルト通りの角の「ル・ボナパルト」。ロメールの映画にも登場したサンジェルマン教会を眺められるもうひとつのカフェ。
ずっと18区のスタジオにばかり通っていたから、4人そろって左岸で会うのは久しぶりのような気がする。

その日はヘッドフォンを持参するようにと事前に言われていたので、それが何のためかはすぐにわかった。マスタリングが終わったばかりのアルバムを聴かせてくれるというのだ。カフェでメンバー全員に囲まれての単独視聴会とは贅沢すぎる。

iPhoneを手渡され、持参したヘッドフォンをプラグインする。「ボン・ヴォワイヤージュ!」と4人全員と握手をして、プレイボタンを押すのである。


さて、ここまで書いておきながら、この続きをどう書くべきだろう。僕は迷ってしまう。

聴いている間に、大きな感激が次々に押し寄せてきて、おそらく50分にも満たないアルバムは、あっという間に聴き終わってしまった、ようでありながらも同時に、ずいぶんと長い大作のようにも感じられた。

これまでスタジオでそれぞれの音の断片を耳にして知っていたり、あるいは一曲を通して聴いていたトラックも何曲かはあったものの、それがすべてミックスされトラックダウンされ、連続したアルバムとして鳴ってくるその音は、とにかく力強かった。同時に、部分部分できめ細やかな構造も聞こえてくる。とても繊細な構造の。

一度聞き終わってヘッドフォンを外す。4人は反応を待っているが、これは、まちがいなく素晴らしいアルバムで、「これまでのベスト」と思わず口にしたのも間違いはないのだが、いや、そんな単語だけで語れるものではない。泣きそうになるくらい美しく輝いた瞬間も何度かある。

具体的な言葉は、また今度、長い文章を書けるチャンスにとっておこうと思う。
なんといっても、今は曲のタイトルを挙げるのでさえ時期尚早だろうから。

そのまますぐにもう2回(正確には2回目は聴き直したい曲の聴き直したいところだけ)聴かせてもらった。
同じテーブルでメンバー4人はアート・ディレクターのパスカルを交えてヴィデオの打ち合わせをしている。

iPhoneに入っていた写真の文字はジャケットのアイデア・ソースのひとつで、ジャケットそのものではない。念のため。

アルバムのリリースは5月である。

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セカンド・アルバムの「Alphabetical」が完成したときも、僕は取材と称して誰よりも早く聴かせてもらう機会をもらった。明らかに早すぎる取材だったが、そのときはちょうどジャコブ通りとボナパルト通りの角のカフェで、まだiPhoneもiPodもない時代だったから、ポータブルのCDプレイヤーで聴かせてもらった。「前はこの裏のカフェだったね」あまりにも似通ったシチュエーションは当然彼らも覚えていたのである。

それは冬の真っただ中のパリ、太陽も顔を出さなかった午後のこと。
今でも「Victim of the Crime」のイントロを聴くとあの冬の光景が目に浮かぶ。

それとは逆に「WOLFGANG AMADEUS PHOENIX」はどこか逆光ぎみのまぶしい音が詰まったアルバムという印象をもっているが、やはり初めて聴いたその午後の光の印象が強いからだろうか。

もう少し語ってもよい時期が迫ってくるまでに、この素晴らしいアルバムについてもっとうまく的確に表せる言葉を探しておこうと思う。

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| photo: sk |
by cherchemidi | 2009-02-20 03:14 | de la musique
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par 梶野彰一
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